今回は、HubelとWieselの研究(1979)をご紹介します。
はじめに
視覚の研究の重要性: 大脳皮質の機能は長らく未解明だったが、視覚野(特に一次視覚野, V1)に関する研究が進展。
進化的観点: 大脳皮質は哺乳類の進化とともに発達し、特に霊長類では視覚処理が高度化。
視覚の情報処理経路
1. 視覚情報の伝達
網膜 → 視神経 → 外側膝状体 (LGN) → 一次視覚野 (V1)
視交叉: 左視野の情報は右脳へ、右視野の情報は左脳へ送られる。
LGNの層構造: 交互に左右の目の情報を処理する層が存在。
図1: 視覚情報の伝達経路

視覚野の構造
V1の層構造: V1は6層から成り、特に第4層にLGNからの入力が集中。
領野のマッピング: 網膜の中心部はV1内で大きな領域を占める。

V1の機能的構造
1. 受容野と神経応答
中心・周辺型(LGN): LGNニューロンは円形の受容野を持ち、光刺激の中心部と周辺部で異なる応答を示す。
方向選択性(V1): V1の単純型細胞は、特定の方向の線に強く反応。
複雑型細胞: 単純型細胞の情報を統合し、位置に関係なく線に反応。
2. 視覚野のカラム構造
眼優位カラム: V1内の特定の領域が左右どちらかの目の情報を主に処理。
方向カラム: 近接するニューロンが類似した方向選択性を持つ。
V1の表面には左右の目の情報を処理する「眼優位カラム」が交互に並ぶ。
一つのカラムの幅は約0.4~0.5mmで、交互に配置されている。
これにより両眼の情報が局所的に統合され、立体視などの機能が可能になる。
眼優位カラムの模式図

視覚情報の高次処理
V1 → V2, V4, MT(中側頭野)などへ情報伝達
色・運動・形状の分離処理: V4は色、MTは運動に特化。
階層的処理: 低次領域(V1, V2)が基本的な特徴を抽出し、高次領域(IT皮質など)が形状認識を行う。
臨床的意義
この研究はこれまでの、大脳皮質がどのように情報処理を行うかについての理解を変え、皮質が単に感覚情報を表現するだけでなく、入力を変換して高次の情報処理を行う能動的な器官であることを示しています。
参考文献
David H. Hubel and Torsten N. Wiesel. Brain Mechanisms of Vision.1979
NEUROスタジオ東京