今回は、John J. Fraserら(2016)の論文をご紹介します。
「足関節の側方捻挫と慢性足関節不安定性における中足部と前足部の関与:Part1.解剖学と生体力学」
はじめに
人間の足は500万年以上の進化の結果として形成され、力の吸収、不整地への適応、推進の役割を担っています。
本論文は、足と足関節の解剖学的構造およびバイオメカニクスを多分節的視点から検討し、捻挫や慢性足関節不安定症に関連する足部の動きを理解することを目的としています。
足関節複合体の構造
足関節は6つの機能的セグメント(下腿、後足部、中足部、外側前足部、内側前足部)に分かれる。
それぞれのセグメントは動作速度、タスク、およびactive・passiveなカップリングメカニズムによって異なる役割を果たす。
下腿(Shank): 脛骨と腓骨からなり、膝関節と連結。歩行時に振り子運動を行い、足関節に回旋運動を伝える。
距腿関節(Talocrural Joint): 主要な動きは背屈・底屈であり、距骨と脛骨・腓骨で構成される。
後足部と距骨下関節(Rearfoot & Subtalar Joint): 距骨と踵骨が関節を成し、回内・回外の動きを制御。
横足根関節(Transverse Tarsal Joint): 中足部と後足部を接続し、衝撃吸収と推進力の伝達を担う。
中足部(Midfoot): 内側縦アーチ、外側縦アーチ、横アーチを形成し、荷重分散や適応を行う。
前足部(Forefoot): 第1中足骨(First Ray)と趾(Hallux)が含まれ、歩行時の最終推進力を提供する。
足部の機能と動き
歩行時の動き: 足部の各セグメントは歩行中に協調的に動作し、推進力と安定性を確保する。
アーチの変形と適応: 低速歩行ではアーチが低くなり安定性を向上、高速歩行ではアーチが高まり推進力を強化。

筋肉の役割
外在筋(Extrinsic Muscles): 下腿から起こり、足の動きを制御。
腓骨筋群(Fibularis Muscles): 外側部の安定化。
前脛骨筋(Tibialis Anterior): 足の背屈と安定化。
下腿三頭筋(Triceps Surae): 足底筋膜(Plantar Fascia)の張力調整。
内在筋(Intrinsic Muscles): 足底に存在し、アーチの維持と調整を担当。
短趾屈筋(Flexor Digitorum Brevis): 指の屈曲と衝撃吸収。
母趾外転筋(Abductor Hallucis): 内側縦アーチの支持。
足底筋膜(Plantar Fascia): 衝撃吸収と力の伝達。
歩行時の足部の動き
後足部: 初接地時に中立、立脚中期に回内、最終的に回外して推進。
中足部: 初期には回外し、立脚中期から後期にかけて回内して安定性を確保。
前足部: 側方アーチが歩行中に変形し、最後に押し出しの役割を果たす。
足部の個別分節は歩行中も柔軟性を保ちますが、後足部回内と前足部背屈、後足部回外と前足部底屈の間にカップリング関係があります。
まとめ
足関節は多分節的な構造を持ち、それぞれの部分が協調的に機能することで、推進力の最適化、不整地への適応、バランスの維持を行っている。
参考文献
John J. Fraser et al. MIDFOOT AND FOREFOOT INVOLVEMENT IN LATERAL ANKLE SPRAINS AND CHRONIC ANKLE INSTABILITY. PART 1: ANATOMY AND BIOMECHANICS. 2016
NEUROスタジオ東京