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 脳卒中後の上肢機能における重力の影響と筋力低下との関係

みなさまこんにちは、今回は「脳卒中後の上肢機能における重力の影響と筋力低下との関係」についての論文をもとに記事にしていきます。

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/17486581

最後まで拝読していただけると嬉しく思います!


 目的:

重力負荷が脳卒中後の到達運動に与える影響を評価影響が筋力低下や筋力バランスの異常とどのように関連しているか?


 方法:

参加者

慢性期の片麻痺を持つ脳卒中患者10名


 到達運動

 上肢を能動的に重力に抗して支持する条件

上肢を受動的に支持(エアベアリング)する条件

アウトカム

肘関節の最大角加速度と最大角速度

肘関節と肩関節の運動範囲

最大随意トルク(MVT)と筋力バランス

これらの運動学的パラメータと筋力測定値との相関


結果


上肢を能動的に支持すると、肘関節伸展運動の速度と範囲が大幅に低下した

この重力の影響は、肩の外転筋や外旋筋の筋力低下とは関連していなかった。また、肘関節の屈筋と伸筋の筋力バランスの異常とも関連しなかった


肘関節伸展の筋力と能動的支持時の可動域には弱い相関があった


著者らは、これらの結果は単純な筋力低下よりも神経制御の異常が主な要因であることを示唆


臨床的には…

・重力の影響の理解:筋力低下≠神経制御の異常

・評価方法:重力負荷下での上肢機能評価の重要性

・段階的アプローチの重要性:重力支持から徐々に自立的な動きへのアプローチ

・代償戦略への注意:早期から適切な運動パターンを促進すること

などを考慮できるとより個別化された介入が行えます

引用論文

Randall F Beer:Impact of gravity loading on post-stroke reaching and its relationship to weakness; Muscle Nerve. 2007 Aug;36(2):242-50.

NEUROスタジオ東京 山岸梓